前回,大学偏差値や機能的価値(教育の質,施設・設備等)は,高校生が大学選びする際の判断材料として決め手にならない場合が多いことをお伝えしました。ということは,大学のブランディング戦略として考えてみても,これら指標にもとづく《商品価値》をいくら広報しても,高校生のハートを鷲掴みするようなことにはならないということです。
では,大学は何を価値として提供するべきか?
前回お約束した通り,みなさんの理解を助けるための<補助線>を引いてみましょう。
この手の話をすると,必ず引き合いにだされるのが,スタバとiPhoneの例です。このブログのご案内する先は少し違う<場所>ですが,導入として,少しだけ触れておきます。
◯補助線(その1):スターバックス
また,「スタバ族」と称される,「スタバに通う自分」を見る他者の目線を十分に意識しながら,承認欲求的な消費を愉しむ人たちが多数います。「承認欲求」とは,アメリカの心理学者マズローの提唱した欲求の5段階説の2番目に位置する欲求のことで,要するに,ファッションのように「スタバに行く自分」を演出しているということですね。ちなみに,これはちっとも悪いことじゃありません。レトロな喫茶店が好きな人もいれば,最近日本に上陸したブルーボトルコーヒーに飛びつく人もいる。商品を選好する理由はなんだっていいのです。
少し脱線しましたが,以上の説明で,人々がスターバックスを愛好する理由は,コーヒーが美味しいという機能的価値以外の価値も少なからず含まれていることがお分かりいただけたかと思います。
◯補助線(その2): iPhone
みなさん,スマホは何を使ってますか?具体的数字はともかく,国内にはiPhoneユーザーが数多く存在しています。では,iPhoneがなぜそれほどに支持されるのか。これにはさまざまな要因が絡み合っていますが,機能的価値だけで考えると,iPhoneにできてAndroidスマホにできないことはほぼありません。また,iPhoneの美しくスタイリッシュなデザインについても,同様にかなりクールなデザインのandroidスマホが各社から提供されています。
それでもやはり,私達は,スマートフォンに「アート」を持ち込んだスティーブ・ジョブズのこだわりを忘れることができません。そして,その精神は,彼の死後も今に至るまで受け継がれていると言っていいでしょう。もちろん,今もそのコンセプトが受け継がれる理由は,その方が「売れる」からですが,そもそもの話として,高い事業判断上のリスクをその狂気で乗り越え,当時,誰も想像できなかった価値を創造したジョブズはやはり個性豊かな天才というしかありません。そして,ジョブズと彼を巡る<大きな物語>,そしてその体現物であるiPhoneを,ユーザーは熱狂的に支持したのです。今のアップル社は,そのレガシーを大事に使い続けているわけで,主役の交代が著しいICT業界にあっては,稀有なことと言ってよいと思います。
もちろん,スターバックスと同様に,他人目線を意識した「iPhoneを使う私」という,承認欲求的なファッション消費が行われる場合も少なくないでしょう。
iPhoneがユーザーから根強く支持される理由が,機能的価値のみにもとづくものでないことが,これでお分かりいただけましたね。
さて,次回はいよいよ,大学は何を価値として提供すべきか,高校生は,何を判断材料として大学選びをするべきかについて,私の考えをお話ししていきましょう。
(つづく)
《理解を深めたい人のための一冊》
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